ドラゴンクエスト3
ドラゴンクエスト外伝〜そして、もう一つの伝説へ……〜
第一部・伝説の始まり
著作者:異界探訪
Kira’sQuest徹底攻略広場 ドラゴンクエスト3

      第八章・メダル王の城
(一)

・ラミィ達がコッドを発ってから五日目の事、途中妖精が魔の波動によって凶悪化したピクシーに遭遇した他は何事もなく、彼女達は森を抜けて広い大海原へと行き着いた。
「う、うーん。潮の香りがすごいわねぇ。潮騒の音も気分が落ち着く感じ。ただ、この潮風で髪が傷んじゃうのがねぇ。あら、どうしたのマリエル」
・見るとマリエルは海を見つめて動かない。先のピクシーとの戦闘でも、大した相手では無いとは言え、彼女は空を見つめたままぼんやりとしていた。まるで何かに気を取られている様な、心ここにあらずと言った感じである。
「ねえ、ひょっとして海を見るのは初めて?」
・その言葉にマリエルはラミィの方を向き、そして微笑む。
「ええ。海だけじゃない、村から出るのも初めて……」
「そう、ずっとあそこで暮らしてたのね。あたしもそうだった。まさかこんな旅に出る事になるなんてね」
・ラミィはどこまでも青く広がる海を見ながら、これまでの旅を思い出していた。彼女がルークラッドを旅立ってから、実に六十二日目の事であった。
「ふぅ、それにしても北の孤島ってどこにあるのかしら。見たところそれらしい島影は見えないんだけど……。マリエル、知ってる?」
「いいえ、私は……。ちょっと待って、聞いてみる」
「聞いて?」
・マリエルは目を閉じると、海に向かって両手を広げる。
「大海をさまよいし精霊よ、願わくば我が声に応えその姿を示せ。ロルァーン!」
・その声に海面はざわめき立ち、波は一定のリズムを刻み始める。そして次第に渦を巻きその中心から現れ出でるは、額に輝く星を抱くイルカにも似た海の精霊だった。
「な、何これ……」
「召喚、大地や空や海の精霊に祈りを捧げることで、その力を借り受ける術。これは海の精霊ロルァーン」
・そう言うとマリエルは精霊に近付き、自らの額をその星に触れさせる。
・・『キュールルルーーーン、キュリリリィィーー』
・精霊は体を震わせて声を発する。マリエルはその言葉を理解しているようだった。
「マリエル?」
「知ってるって。この子が案内してくれるわ、乗りましょう勇者様」
「乗る……って、ちょっとマリエル」
・だがマリエルはさっさと精霊の背中に乗り、涼しげな顔をしてラミィに手を振る。
「早くしないと行ってしまうわよ、勇者様」
「あ、待ってよ」

・十数分後、マリエルとラミィは精霊ロルァーンの背中に乗って、快適な海上の旅を楽しんでいた。はねる水しぶきが冷たく、それがまた心地よかった。水上をシャチの群が並んで泳ぎ、二人は楽しい一時を過ごす。
「海、全ての生命の生まれ故郷たる母なりし海。碧く透き通る水、白く輝く飛抹、群れ集う魚達。海って気持ちいい……」
・だがその時間も長くは続かなかった。突如ゆく手の海が割れ、巨大な触手が姿を見せる。緑色にぬめるその巨体は、海の悪魔と呼ばれるテンタクルスである。
「くっ、こんなとこにも魔物が。気をつけてマリエル!」
・ラミィは稲妻の剣を構えると高く振りかざす。しかしマリエルは落ち着き払った様子で事も無げに言う。
「大丈夫。ね、ロルァーン」
『キュウィイ』
・その言葉に精霊の瞳は紅き輝きを放ち、口を大きく開くと冷たく輝く息を吐き出した。それは瞬く間に海面を凍てつかせ、テンタクルスは声を上げる間もなく凍れるオブジェと化す。
「ままま、マリエル……。ちちちちょっとややややり過ぎ……かかかも…………」
「え?」
・クルリと振り向いたマリエルの目には。余波を受け半分雪に埋もれているラミィの姿が映っていた。

「もー、ほんとマリエルってよく解んない性格してるわねぇ。でも、精霊の力って凄いのね。ありがとう、ろ、ろる……」
「ロルァーン」
・マリエルはボソリと呟く。
「そ、そうそうロラーンよね。ありがとう、ロラーン」
『キュククイィ』
「ふふふ、あはははは」
・マリエルは声を上げて笑いだした。
「ど、どうしたのマリエル」
「ふふ、こんな楽しいのは初めて。こんな風に笑ったのも初めて」
「仲間っていいものでしょ。あたしもガルクと会って知ったわ。ガルク、今ごろどうしてるかしら」
・ラミィは遠く南の空を見上げる。そこには太陽が眩しく佇んでいた。その同じ太陽の下、ガルクは小舟でガルナシアのあるワイバン島を目指していたのだが、ラミィにそれを知ることは叶わなかった。
・そうこうする内に、ラミィ達を乗せた精霊は小さな島へと辿り着く。そして彼女たちを降ろすとロルァーンは再び海へと消えて行った。
「あの子、どこへ行くの?」
「山の精霊は山と共に、海の精霊は海と共に、ね」
・そう言ってマリエルは例の微笑みを見せる。ラミィも笑みを返すと、内陸へと踏み入って行った。そこは一日も歩けば一周できるような、極々小さい島であった。北には山が聳え、南には森が広がり、そしてそれらに挟まれる形で草原が存在している。その城は草原の中央に、小さいながらも堂々とした姿を湛えていた。


(二)

「ここが……、メダルを集めてる王様の城……」
・ラミィは城を見上げたまましばし見入る。
「入らないの?」
・その言葉にはっとするラミィ。
「え、ええ。入りましょう」
・入口を入ると、サンドローグの王宮とはまた違った雰囲気に包まれる。床には丸の中に星の描かれた紋章を刺繍された絨毯が敷かれ、その周囲をスライムとスライムベスが跳ね回っている。
「スライム?・何でこんな所に」
・その言葉にスライム達が振り向く。
「ぷるぷる。あ、お客さんだ」
「ぽよぽよ。ホントだ、珍しいね」
「しゃ、喋った!?・ねえマリエル、聞いた!?」
・だがマリエルは、相変わらずの落ち着いた表情で言う。
「モンスターにだって心はあるもの。喋ったって不思議はない、そうでしょう?」
・マリエルはそう言ってスライム達に近付いて行く。
「こんにちは、王様はここにいるの?」
「ぷるぷる。メダルの王様なら、階段を上がった先にいるよ」
・スライムが示す先には、二階へと伸びる階段に先程の絨毯が続いている。ラミィ達は、辺りを見回しながらゆっくりと進む。それを出迎えたのは一人の兵士であった。
「ようこそメダル王の城へ。我が王がお待ち兼ねでございます、さあこちらへ」
・案内されて着いた先には、人の良さそうな優しい微笑みを湛えた男が玉座に着いていた。
「わしは世界中の小さなメダルを集めておる。そなたも、わしの元へメダルを持って来てくれたのかな?」
「あ、いえ。メダル王様、実は見て欲しいものがあるんです」
・言ってラミィはメダルを取り出す。
「おお、やはりメダルを持っておるではないか。……む、なんじゃ、小さなメダルではないのか」
「ええ。それは精霊ルビス様から託されたメダルなんです」
・ラミィはこれまでの事を語って聞かせる。
「ふむふむ。小さなメダルでは無かったが、世界にはまだまだ珍しいメダルがあるようじゃな。なかなか面白い物を見せてもらった、例を言うぞ。じゃが……、さすがのわしにもその様なメダルの事は判らんのぉ。すまぬな」
「そう、ですか……」
「まあ折角この様な所まで来たのじゃ、ゆっくりして行くとよい。と言っても大した持て成しは出来んがな」
・そう言ってメダル王は高らかに笑う。と、今まで部屋のあちこちを見て回っていたマリエルが尋ねた。
「ねえ王様。王様はずっとここに住んでいるの?」
「ふむ。わしがここに城を築いてから数十年、ずぅっとここで暮らしておるぞ。メダルを集め始めたばかりの頃は、世界を旅しておった事もあったがな。今はもうこの城から出る事は殆どないのぉ」
「それで、寂しくは無いんですか?」
・ラミィも問う。
「寂しい?・何故じゃ。わしには、ほれ、そこのピピンもおるし」
・王の指さす先で、先程案内してくれた兵士が手を振っている。
「それに階下で見なんだかの?・あのスライム以外にもこの城の周りには、心優しきモンスター達がたくさん住んでおるんじゃよ。彼らはわしに気を許しておるし、わしも彼らを好いておる。寂しい事などあろうはずもない、違うかの?」
・そう言ってメダル王は優しい笑みを浮かべる。
「王様には、子供もいないんですね」
「ふぁっふぁっふぁっ、王と名乗ってはおるがここは国ではない。メダル王と言うのは世襲、つまり子や孫に受け継いでいく物ではないのじゃよ。そもそも初代メダル王、当時はまだメダルのおじさんと名乗っておったそうじゃが、彼は世界中の珍しい物を集める事を趣味としておった。
「ところがある時、彼は殆ど全ての珍しい物を集めてしまい、次に何を手に入れようかと思案しておったのじゃ。そこへ一人の子供が通りかかり彼の前で転んだ。その子供は持っていた大事な宝物を道にばらまいてしまったのじゃが、彼はその中に数枚のメダルを見付けたのじゃ。
「それはどこにでも転がっているような小さなメダルだったのじゃが、彼はその色や模様、大きさが微妙に異なる所に目をつけたのじゃな。たちまちその面白さに惹かれ、残りの生涯をメダル集めに費したと言うことじゃ。彼は当時アリアハンと呼ばれた国の城下町、井戸の底に居を構え、小さなメダルとこれまで集めて来た珍しいアイテムを交換したと聞く。
「そしてわしも世界を巡って、様々なアイテムを集めた結果小さなメダルに行き着いたのじゃ。わしは第十四代に当たるのじゃが、メダル王は当代の王に認められた者だけがその資格を得る。実はわしにも一人弟子がおってな」
「メダル王の弟子……てすか?・ふふふ」
・ラミィは王の弟子、と言う言葉の響きに妙なおかしさを感じた。だがそれは、同時に不思議な暖かさを感じさせるものでもあった。
「あやつに次期メダル王を継がせたら、西の果てにあるとか言うスライムの島へ行ってみたいものじゃ。そこには様々なスライムが暮らしていると聞く。実は下におるスライム達もそこから流されて来たらしくての、どうやら故郷に戻りたいと思っておるみたいでなぁ。それに、スライムの格闘場なんか造ると面白そうじゃ。あいつめ、早く戻って来ぬかのぉ。
「……おおそうじゃ、あやつならメダルを探して修行の旅をしておるゆえ、何か知っておるかもしれぬな。もし旅先で会うことがあったなら尋ねてみるとよかろう。さてと、話はこれくらいにして。そろそろ食事の用意も整った頃じゃろう。下へ降りるとしよう」
・メダル王に案内されて食堂へと移動するラミィ達。席に着いた王は何かを思い出したのか、再び立ち上がって部屋を出て行く。そしてしばらく経って、手に小さなガラス細工を持って戻って来た。
「いや失礼した。折角この様な場所まで足を運んでくれたのじゃし、珍しい物も見せてもらった。せめてこれを持って行ってもらおうと思っての」
「これは?」
・そのガラス細工を受け取るラミィ。
「それは時の砂と言っての、ほんの一時の時間を操作する事が出来るのじゃ。と言ってもこれはレプリカ、時をわずか戻す事しか出来ぬ上に一度使えば壊れてしまうんじゃよ」
「そ、そんな。それだけで十分です。時間を戻せるなんて……、どういう仕組みなのかしら」
「ふむ、時の砂の魔法と言っての。砂に、今は失われた時を操る呪文が込められておるのじゃ」
「へえ……」
・ラミィは時の砂を繁々と眺める。ハート形した器の中で、不思議な色彩を放つ砂がキラキラと踊っていた。

・翌朝、再びテーブルを囲むラミィ達とメダル王。
「してお主たち、これからどうするつもりかの」
「はい。色々な情報が集まるだろうから、ライナスへ行ってみようかと」
「ふむ、ライナスか。あそこは最近、何かとよくない噂を聞くな。いやなに、俗世間から離れたとは言え、情報と言うものはどうにかしてでも入って来る物でな」
・とその時、マリエルの瞳が光り髪の毛が逆立ち始める。それは数秒続き、そして収まった。
「勇者様、いま精霊たちからの託宣があったの。東の方に災いありって。どうやらライナスが……」
「次の目的地で決まりって訳ね。災いに耳を傾けよ、か。それではメダル王様、色々とありがとうございました。あたし達、そろそろ行きます」
「うむ。わしには大した手伝いも出来ぬが、頑張るのじゃぞ」
・そしてラミィ達はメダル王に見送られ、城を背に東へと向かうのだった。


(三)

・再びロルァーンの背に乗り、陸沿いに海上をライナスへと進むラミィ達。三日もすると、やがて陸地が大きく右手奥へとカーブしてゆく。北西大陸の上端、オベリア岬である。岬からライナスのあるデルヌ大陸までは船でおよそ半日、間にあるフーリ島に各々掛けられた吊り橋を渡るなら一日半の距離がある。ただしデルヌ大陸の北部は切り立った崖になっており、船で行く者は自然と南にあるシーフェアを目指す事になる。ラミィ達はオベリア岬でロルァーンと別れ、フーリ島を渡る行路を選択した。
「ここを渡ればいよいよライナス領ね。メダル王、ライナスによくない噂があるって言ってたけど……。マリエルは何か感じたの?」
・だがマリエルは首を振る。
「ただ、精霊たちは何かに脅えてるみたいだった」
「とにかく先へ進みましょう。橋の先には関所があって、その向こうがすぐラスタットの街のはずよ。そこまで行けば何か判るわよ、きっと」
・そうして途中島で休息を取りつつ進むこと一日半、二人はライナスの関所へと辿り着いた。橋から陸地へと降り立ったすぐ前に、巨大な門が構えている。だが、そこに人の気配は無かった。
「おかしいわね。随分前から人がいないみたい。この関所……、機能してないのかしら」
・ラミィは門扉に触れてみる。しかし扉は堅く閉ざされ、如何なる者の侵入をも拒んでいた。
「どうしようか。やっぱりシーフェアから行くしかないのかなぁ。どう思う?・マリエル」
・だがその問いに答えたのはマリエルでは無かった。いつの間に来たのか、門の上、そこに男は腰かけていた。そして上からラミィ達を見下ろしながら言った。
「無駄だぜ。今ライナスには戒厳令が敷かれてるんだ。国から一歩も外へ出られねえし、外から入ることも出来ねえ。おかげでこの国は、かつての強国としての力を失っちまったのさ」
「あなたは?」
「俺か?・俺は元近衛隊の副隊長さ。国王に逆らった罪でクビになっちまったけどな。隊長のとりなしで何とか死刑は免れたんだが、家も何もかも取り上げられて、その日その日を辛うじて生きてる感じさ。そういうあんたらは、こんな国に一体何の用なんだい」
・男はその外見とは裏腹に、鋭く射抜くような眼光でラミィを見据える。痩せても枯れても、歴戦をくぐり抜けた戦士と言うことか。
「あたしは……、あたしはこの国の災いを取り除くために来たの」
「ほぉ。……その言葉、どうやら偽りは無いみたいだ。ちょっと待ってな」
・言うと男は門の向こう側に飛び降りる。そしてややあって、門に取り付けられた小さな扉が錆びついた音を立てて開いた。
「いいの?」
「なに、どうせその気になりゃ関所以外からでも入れるんだ」
「あなたがこの関所を管理してるの?」
「本当は見張りなんていらねえんだけどな、こっちは人も殆ど通らねえし。まあこの国に貢献して来た、せめてもの情けって奴だろう。と言っても仕事なんて何も無いんだがな」
・男はラミィ達が通ると、すぐに扉を閉めた。が、鍵をかける様子は無い。尤も、錠前はとっくの昔に錆びて壊れてしまっている様だった。
「一体、ライナスに何が起きてるの?」
「丁度一年くらい前か、国王が突然心変わりしちまってな。関所を閉ざし戒厳令を敷き、更にはラスタットと王宮を結ぶ街道さえ封鎖しちまったんだ。大陸の北側は断崖絶壁、西と南にある関所を閉じちまえばこの国は完全に外との繋がりを断たれちまう。国民は最初の内こそ不満を感じて抗議もしたが、見せしめに何人かが公開処刑されてな。今じゃ自給自足でどこまで食いつなげるか、それだけを考えて生きて行くしかないのさ。
「一体国王は何を考えているのやら。魔族に魂を売っちまった、なんて噂も出る始末だ。あんた、本当にこのライナスを救うつもりか?・俺もそんな考えを持ってた事もあったが、もうそんなの諦めちまったよ。今からでも遅くはねえ、もう一度そこの扉をくぐれば何も無かったことに出来るぜ」
「あなたは本当にそれでいいの?・いいえ、あなたが良くてもあたしはそうはいかない。それが、あたしの使命だから」
・ラミィは男の目を見つめる。その中心の輝きは、まだ衰えてはいなかった。
「あんた、不思議な瞳をしてるな。あんたなら本当になんとかしてくれそうな、そんな気になってきたぜ」
「ねえ、どうしてみんな王様の言いなりになってるの?」
・そう尋ねたのはマリエルだった。
「みんなで行けば、相手は王様一人なんでしょ?」
「へぇ、こっちの嬢ちゃんもいい目をしてるな。実は人が変わっちまったのは国王だけじゃ無いんだ。俺が近衛を辞めた後、いくらもしない内に兵士全員おかしくなっちまった。あの隊長さえも……。城の武器庫は奴らが押さえてる、力の無い一般市民はおとなしく従うしかないんだよ。全く、ガルナシアも滅んだって聞くし。ここも長くはないかな」
・だが言葉とは反対に。男の表情は何かを決意していた。
「ふっ、俺も懲りねえな。力を貸す、この国を救ってくれないか」
「最初からそのつもりよ。でも、どうやってお城に入るの?」
「なに、城ってのは大抵どこも抜け道があるのさ。勿論ライナス城にもな。だが今日はもう遅い、何もないけどここで休みな」
・男はそう言って、門の脇に建てられた簡素な兵舎を示す。
「そうそう、俺の名はブラストだ。よろしくな」
「あたしはラミィ、こっちはマリエルよ。でも、休むなら街へ行った方がいいんじゃない?・色々準備もいるだろうし」
・しかしブラストは首を振って言う。
「さっきも言ったろう。戒厳令の中うろついてたら、即刻捕まって牢屋行きだ。素性の知れない旅人なら尚のこと、そのまま処刑されるのが落ちだ。出来れば城に入るまで、誰にも見つからないに越した事は無いさ」
「そう……、ね」
・ラミィはうなずくと、兵舎の中へと入る。
「ベッドは一つ……。マリエル、使っていいわよ」
「ありがとう、勇者様」
・マリエルの言葉に、ブラストは首を捻る。
「勇者?・お前達は一体……」
「えっと。はぁ、また説明なのね。まあいいわ、実はね……」
・ラミィはため息をつきつつ、何度目か忘れるくらい繰り返した旅の経緯を語って聞かせるのだった。

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